このくらいの月齢になると、毎晩2,3册読んでいました。
6歳くらいになると、文字の量も増え、読むのも少し大変でした(笑)。
でも、娘もいろんなものを感じ取って、心の肥やしになったのではないかと思います。
子どもには、はらはら、ドキドキとスリルが味わえる絵本かもしれませんね。三びきのやぎが山へえさを食べにいくのですが、山にいくには谷川にかかる橋を渡らなければなりません。橋の下には恐ろしい化け物の「トロル」がいます。トロルの描写がすごいです。「ぐりぐりめだまはさらのよう、つきでたはなは、ひかきぼうのようでした。」1匹目も2匹目もこわごわと橋をわたりました。3匹めにやってきたのが、大きいやぎのがらがらどん。そのがらがらどんの姿が、勇敢でかっこ良いのです。
「さあこい! こっちにゃ 二ほんの やりが ある。
これで めだまは でんがくざし。おまけに、おおきな
いしも 二つ ある。にくも ほねも こなごなにふみくだくぞ!」
こう、おおきいやぎが いいました。
そして、トロルに とびかかると、つので
めだまを くしざしに、ひづめで にくも
ほねも こっぱみじんにして、トロルを
たにがわへ つきおとしました。
ひどくしゃがれたがらがら声という描写があるので、台詞もそのように読んで私も楽しんでいました。この本は、絵も大胆で荒削り、そして力強いです。こんな表現もあるんだなーと、絵本の世界の広さを感じました。
娘の保育園時代、そして小学校に上がってからも題材に取り上げられました。
「えー、ともだちやです。ともだちは いりませんか」
森に住むキツネは、「ともだちや」を始めることにしました。
友だちがほしくてさびしい人に、「1時間100円」で友だちになってあげるのです。
果たして、お客さんは……?
友達はお金では買うことのできない、大切な存在だと教えてくれる一冊です。友達の大切さ、あたたかさが伝わってきます。大人になると、友達に会う機会もずいぶん減ったなと思うのですが、友達ってなんだろうと、改めて考えさせてくれる作品です。娘にも、心許せる大切な友達をつくってほしいなと思います。
「3枚のおふだ」という昔話がありますが、「おふだ」が「玉」にかわったのがこのお話です。お話もさることながら、絵が日本の昔話そのもので素敵です。登場するおばばが不気味でどこまでも追いかけてくるのが、臨場感があってスリリングです。最後はあっけなく和尚さんに食べられてしまうのですが、話のメリハリもいいですね。
この絵本は個人的にベストスリーの中の一冊です。パン屋のくまさんの一日が丁寧に描かれています。パン屋のくまさんは、朝とても早く起きて、仕事を始めます。お店はくまさんだけなので、パンを作るのも配達するのも、お店番も全部ひとりでやります。くまさんの仕事ぶりが本当に勤勉で、礼儀正しくて好感が持てます。パン屋のくまさんの一日は本当に穏やかで、平凡なんですが、一日一日、仕事もきっちりやって、大切に生きるってこういうことなんだなと思わされます。こどもにとっては地味な印象の絵本なのかも知れませんが、私は大切なことを感じさせられる深い一冊です。絵も可愛いくて、大好きな絵本です。同じ作者で「ゆうびんやの くまさん」「うえきやの くまさん」「ぼくじょうの くまさん」「せきたんやの くまさん」があるようですが、この「パンやの くまさん」がだんとつ人気のようです。
この本も私のベストスリーの一冊です。ほわほわかぞくという響きがすでにかわいいです。クマでもない、不思議な動物の家族の1日のお話です。絵にあたたかみがあって、可愛く、深みがあります。このお話も、静かな平凡なお話なのですが、ほわほわのおとうさん、おかあさんの子どもへの愛情がダイレクトに伝わってきます。子どもとはこんなにも愛されているんだよ、ということが娘にも伝わったのではないかなと思います。文章もやさしい響きで、それでいてとてもリズミカルです。小さな生き物への愛情や、家族への愛情が描かれた、愛おしくなるような絵本です。
からすの街にあるからすのパン屋さんのお話です。ひょうんなことから、このパン屋さんで、いろんな種類のパンをつくることになりました。その数が圧巻です。見ていても楽しくなるものばかり。そのパンが欲しくて、街中のからすたちがお店にやってきたので、大騒ぎに。その騒ぎを火事だと勘違いしたからすが、消防署に連絡してしまたので、消防車や出動したり、大事件だと勘違いした機動隊が出動したり、もうてんやわんやの大騒ぎです。でも、パンの売り出しの時になると、みんなきちんと並んで、パンを買っていき、騒ぎは治まりました。やがてパン屋さんは、評判な立派な素晴らしいお店になったとのこと。とても面白いお話です。1973年に出て、40年以上も読み継がれてるんですね。絵本の中の、からす達の描写がとても面白く、たくさん描かれたパンは、どれも美味しそうです。親子で楽しく読める絵本です。
色彩鮮やかな可愛い絵です。ソフィーとお母さんがお茶の時間にしようとすると、突然玄関のベルが鳴ります。誰だと思ってみて見ると、「ごめんください。ぼく とてもおなかがすいているんです。おちゃのじかんに、ごいっしょさせて いただけませんか?」と、トラがやってきます。お母さんたちはどうするのかな、と思うと「もちろんいいですよ。どうぞ おはいりください。」と招き入れます。なんでやねーん!と思ってしまいますが、ここは絵本の世界。その後、トラは家中のありとあらゆるものを食べて「さよなら〜」と帰ってしまいます。そこにお父さんが帰宅し、食べる物がなくなっちゃたんだったら、レストランでも行こうとなり、家族で食事に行き、幸せな時間をすごしました。
一見おおらかなこの物語ですが、作者は1923年ベルリン生まれ。10歳のときに、家族とともにナチスの迫害を逃れるため、ドイツを離れ、スイス、フランス、イギリスへと渡ったそうです。トラとして描かれたものは実はナチスだったと読み取ると、すごく深いものが見えてきます。
クリスマスの足音が近づくころから読んであげたい一冊です。フィンランドの山のふもとにあるサンタクロースの村が舞台です。その村ではサンタクロースが何百人ものこびとやトナカイにかこまれてくらしています。小人のおじいさんやおばあさんは、世界じゅうのよい子へのプレゼントを用意するのがお仕事です。だから、とても器用でいろんな職業の人がいるんですって。その描写がとても細かくて、本当にこんな村があるんじゃないかというくらい、見ていて楽しいです。世界中のこどもたちに配るプレゼントは、全部この村でつくられているので、みんな大忙しです。やがて、サンタさんがクリスマスイブに世界中のこどもたちにプレゼントをとどけるという一番大切な仕事を終えた、クリスマスの夜には、サンタと小人たち全員が集まって、盛大なお祝いが開かれます。私の娘ももう9歳ですが、まだサンタさんを信じています。そんな子どもに夢を与えてくれる、楽しい絵本です。
ウクライナの民話です。絵がやわらかく、あたたたかみがあります。
雪の上に落ちていた手袋にネズミが住みこみました。そこへ、カエルやウサギやキツネが次つぎやってきて、とうとう手袋ははじけそう……。
いろんな動物が次々にやってきて声をかけるところでは、声色を変えて読んでいました。小さな手袋に、なんでそんなにたくさんの動物が入れるのか、不思議です。シンプルなお話なのに、絵が素敵。動物が着ている服も鮮やかでオシャレなのです。動物が増えるごとに手袋の様子に変化が見られ、ちょっとわくわくどきどきしながら楽しく読める本です。1965年に発行されたという古い絵本ですが、長年読み継がれている魅力たっぷりの絵本です。
えんぐちゃんが持っているものを何でも欲しがるだるまちゃん。子どもにはよくあることですよね。毎度新しいものを欲しがるだるまちゃんに、だるまちゃんのお父さんが何かと協力してくれるのですが、ちょっと空回り気味。でも、そこがまた面白いのです。てんぐちゃんのような長い鼻をほしがるだるまちゃんに、お父さんがしてあげたことは…!かこさとしさんの絵本は、細かい絵が沢山描いてあって、それをじっくりみるのも面白いです。どの作品も、家族の愛情、素直な子どもの姿が描かれていて、心あたたまります。
【かこさとしさんの紹介】
1926年福井県武生市(現在 越前市)に生まれ。1948年東京大学工学部応用化学科卒業。工学博士。技術士(化学)。
民間化学会社研究所勤務のかたわら、セツルメント運動、児童会活動に従事。1973年会社を退社した後は、児童文化と児童問題の研究のかたわら、テレビのニュースキャスター、大学講師、海外での教育実践活動などに従事。また児童文化の研究者でもあるそうです。作品は、物語絵本、科学・天体・社会関係の知識絵本、童話、紙芝居など多岐にわたり、なんとその数500点以上。主な作品に「かこさとしおはなしのほん」シリーズ『ピラミッド』『うつくしい絵』(偕成社)、「だるまちゃん」シリーズ『かわ』『海』『とこちゃんはどこ』『万里の長城』(福音館書店)、「かこさとしからだの本」シリーズ(童心社)、『伝承遊び考』「こどもの行事しぜんと生活」シリーズ(小峰書店)などがある。1963年サンケイ児童出版文化賞大賞、2008年菊池寛賞、2009年日本化学会特別功労賞、神奈川文化賞、2011年越前市文化功労賞、2012年東燃ゼネラル児童文化賞などを受賞。2013年春、福井県越前市に「かこさとしふるさと絵本館 砳(らく)」がオープンしたそうです。
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